「海に眠るダイヤモンド」から考えるこれからの時代の変化と不動産の在り方
最近、ドラマ『海に眠るダイヤモンド』を見ています。
舞台は、現在「軍艦島」として知られる島で、当時は「端島」とも呼ばれていました。
物語は、その島に暮らしていた人々の生活と、
現代の人々が抱える悩みをリンクさせながら進行します。
過去と現在を行き来し、未来を見据える視点は、
これからの時代を考える上で非常に大切だと感じました。
かつての端島では、炭鉱での石炭採掘が生活の中心でした。
石炭は当時の重要なエネルギー資源であり、
労働者たちは命がけで炭鉱を掘り進めていました。
私は数年前に端島(軍艦島)を見に行ったのですが、上陸はできず、船からの見学だけでした。
それでも、日本最古のRC(鉄筋コンクリート)マンションが建っている様子を間近に見て、
100年近い建物が存在していたことに驚きました。
人々の生活の営みが今の時代にもつながっていると感じ、非常に感慨深かったです。
インフレと2024年問題が与える影響
ここ数年、インフレが進行しており、加えて「働き方改革」などの影響から
「2024年問題」として建設業界も大きな転換期を迎えています。
これにより、建設費の高騰が進み、従来は土地さえあれば建物を建てられたという状況から、
一定の自己資金を求められる時代へと変わりつつあります。
融資を受けるための条件が厳しくなったため、資金調達が難しいケースも増えています。
また、建設費の高騰にもかかわらず家賃の上昇が追いつかないため、
投資の回収期間が長期化するという課題もあります。
これまでは「スクラップ&ビルド」が主流でしたが、
これからは「建てたものを長く使う」という発想への転換が求められていると感じます。
私は、これが時代の大きな変化であると捉えており、今後の建築においては、
将来の変化を見据えた計画がますます重要になると考えています。
時代の変化に合わせた建物の性能向上
現在、私はご依頼者様とともに、各ハウスメーカーや建設会社が提供する建物の仕様や性能について学んでいます。
特に注目しているのが「耐震等級」や「断熱等性能等級」です。
断熱性能については、かつては等級4が最高水準とされていましたが、
現在は等級7まで設定されています。
この改正を受け各ハウスメーカーは技術の向上に努めており、
これにより、夏は涼しく冬は暖かい快適な住まいが実現します。
暖房にかかるエネルギーも削減できるため、居住者の生活においても大きなメリットが期待されます。
そのため、単に「価格」だけを見るのではなく、建物の性能や長期的な使用可能期間も
考慮しながら判断することが求められます。
これからは、今までの「価格重視の基準」から、耐久性や省エネルギー性などを踏まえた
「新たな判断基準」を持つ必要があります。
時代が豊かになっていく中で、私たちも未来の暮らしを想像しながら選択をしていくことが求められます。
知識を深めるための勉強会の開催
当事務所では、これから不動産オーナー様向けの勉強会を企画していきます。
不動産オーナー様だけでなく、ハウスメーカーの営業担当者の方々にも参加
していただきたいと考えています。
営業担当者の中には「売れない」と嘆く方もいますが、ただ嘆くだけではなく、
自社の建物の特徴や、他社との違い、そしてその建物が世の中にどう役立つのかを
明確に説明できるようになる必要があります。
不動産オーナー様の生活を豊かにするためには、ハウスメーカー側の
営業担当者が知識を深めることが不可欠です。
売り手の知識が不十分だと、結果的にオーナー様の不安も大きくなってしまいます。
そのため、営業担当者自身が建物の特性を十分に理解し、
「どのようにオーナー様の生活に貢献できるのか」という視点を持つことが重要だと考えています。
専門家の在り方も変わる
このような変化は、不動産オーナー様を支える専門家にも求められるものです。
たとえば、税理士であれば「税務」という枠組みだけにとらわれるのではなく、
オーナー様の悩みに深く寄り添い、より具体的な解決策を提案する必要があります。
私自身も、不動産オーナー様の事例を集めながら、専門家の方々にも
「これからの時代に求められる支援の在り方」をお伝えしていきたいと考えています。
まとめ
時代は大きく変化しています。
これまでの「価格重視」や「スクラップ&ビルド」といった考え方では通用しなくなり、
建物の性能や耐久性、将来の社会的な変化に対応した視点が必要です。
私たちも、時代の変化をしっかりと捉え、未来を見据えた視点を持ちながら取り組んでいくことが求められます。
社会の変化に対応するためにも、私たちはさまざまな情報を提供していきたいと考えています。
不動産オーナー様やハウスメーカーの営業担当者、専門家の皆様にも、
より実践的な知識を共有できる場を提供し、ともに学び合える関係を築いていきたいと思っています。
今後の情報提供にもどうぞご期待ください。
令和6年12月10日 税理士 髙島聖也