Mさんは築50年の倉庫を所有しており、その建て替えを検討していました。
この倉庫の敷地は500坪で、当時は中小企業の配送業者が入居していました。
しかし、建物が古くなってきたため、Mさんはテナントに対し、
数年後に建て替えを行う予定であることを伝え、定期借家契約を結んでいました。
Mさんは将来の建て替えに備え、約10年間にわたり周辺エリアの動向や
流通業界の情報を収集してきました。
その観察の中で、近隣エリアにスーパーが次々と出店し、
福岡市の発展に伴い、所有するエリアが事業用から住居用へと
変化していることに気づきます。
そこで「この場所に倉庫を建てることが地域のためになるのだろうか?」と
疑問を持ち始めました。
Mさんは近隣の状況を考慮し、この場所には住居用アパートを建設する方が
地域に貢献できるのではないかと考えるようになりました。
そのタイミングで、取引のあるハウスメーカーから差別化力のある
新しいアパートの商品案内を受け、これを建築することに決めました。
住居建築に向けてさらにエリアを調査したところ、前面道路の交通量が多く、
歩道が狭いことに気づきます。
Mさんは、ファミリー向けのアパートを計画していたため、
近隣の保育園に通う子供たちが安全に通行できるよう、歩道に面した遊歩道を
建設時に整備するという対策を取りました。
数年前にアパートの建築が無事に完了し、予想を上回る人気物件となっています。
地域と入居者に対する貢献を重視したMさんの不動産経営の取り組みは、
非常に参考になる事例としてご紹介いたしました。
令和6年8月19日 税理士 髙島聖也