税理士の髙島です。
アベノミクスから始まった異次元緩和が終わり、
金利のある世界に戻ろうとしています。
ここ10年間を過ごしてきたプレイヤーにとっては、
金利が上がっていく世界は初めての経験になります。
また、これから事業を承継する方にとっても不安も大きいと思います。
これについて、自己資本(資産-負債)を高めていくことが
対策になるのですが、どの程度自己資本を高めればよいかや、
いくら借入をしても大丈夫かという指標はありません。
このため、攻めすぎて(借入過ぎ)失敗する人が出てきます。
一方で、攻めなさすぎて、失敗するということもあるのではないかと
私は考えています。
資産を相続する中で、相続人に財産を一部分けていくことになりますので、
ただ守っているだけでは、資産は守れない時代になりました。
このため、一定程度は資産を増やすということに取り組めた不動産事業者が
繁栄していくのだと思います。
実は、この10年間は低金利で、かつ、不動産価格も上昇する時期でした。
今からみれば、攻めるべき時期だったと思います。(後からみればですが、、、)
「経営状況が良いうちにもっと攻めましょう!」という
アドバイスが出来たのではないかと少し悔やむ部分もあります。
これを解決すべく研究をしていたところ、
「森ビル・森トラスト 連戦連勝の経営戦略 小沼啓二氏著」の中に次のような
指標が紹介されていました。
森トラスト第二の経営指標
①借入金は賃貸関係収益の5倍以内
②営業利益は借入金の10%以上
③借入金はその時点のキャッシュフローで15年以内に完済が可能な額
例えば、賃貸収益が1億円、営業利益が2,000万円、キャッシュフローが1,500万円だったとします。
これを上記の3つの指標に当てはめた場合には、
①賃貸収益の5倍=1億円×5倍=5億円
②営業利益は借入金の10%以上 = 2,000万円÷10%=2億円
③キャッシュフローで15年返済 =1,500万円×15年=2、25億円
という数字が出てきます。
つまり、この3つの中で一番保守的な数字は
②の2億円になるので、2億円より借入が多ければ少し攻めすぎていて、
2億円より少なければ守りすぎているということです。
この書籍の中では次のようにも述べられています。
「儲かっていること(収益性を重視すること)は、怠慢(成長性をなおざりにする)であり」、
「安全性、収益性、成長性の概念をバランスよく組み合わせれば、儲けはあとからついてくる」
森トラスト前社長 森章氏より
以上、今回は森トラストの3つの指標をご紹介しました。
これは、一つの考え方であり、正解ではありません。
ただ、これに学ぶ部分が多いと思いますので、
またセミナー等を通じて、お伝えしていきたいと思います。
令和6年7月16日 税理士 髙島聖也