税理士の髙島です。
令和6年は固定資産税評価替えの年で、福岡市は固定資産税評価が
かなり上がっており、上昇率が高いところは1.5倍になっているエリアもありました。
先日、インフレ対応セミナーということで、固定資産税という経費が上がるのだから
賃料を上げましょうという内容をお伝えしました。
それでは、固定資産税が上昇する=賃料を上げるということになるかというと
そう簡単にはいきません。
それは、賃料を上げた場合に、その物件に入居するかどうかを判断するのは
入居者だからです。
固定資産税評価が上がる要因としては簡単にお伝えすると二つのパターンがあります。
①取引事例比較法
近隣の取引価格が上昇し、評価が上昇する。
②収益還元法
近隣で賃貸物件を新築した場合の賃料相場が上昇し、評価が上昇する。
まず確認しておきたいのは、福岡市の土地評価の上昇は
①のケースが大きく影響しています。
つまり取引価格が上昇しているので評価が上がったということです。
最近は低金利により住宅ローンを組みやすくなり分譲マンション用地の価格が
上昇しています。
このように高価格の取引が行われると取引相場が上昇します。
これは収益物件の賃料には関係ありませんので、賃料は上昇しません。
ただ、分譲マンションもかなり高くなりすぎて、これでは購入できないという方々が増え、
購入ではなく賃貸を希望する方も増えてきています。
このような方は分譲マンションの住宅ローン返済額と賃貸マンションの賃料を
比較しています。この層の方は質の良い住環境や立地を求めていますので、
これに該当する物件やエリアは賃料が上昇しています。
つまり、収益還元法に依る評価額の上昇イコール賃料の上昇につながる物件もあるのです。
一方で、収益還元法は、「今物件を建築するとした場合」を想定するので、
築年数が古い物件を想定していません。
設備が古い場合など入居者のニーズを捉えていない物件は、
土地評価額の上昇があったとしても、賃料は上昇しないのです。
土地評価の上昇は、将来のコストである相続税の増加につながります。
評価に見合った賃料が得られなければ将来は実は見えていることを
多くの方はあまり知らないようですが、これは不動産を維持していく上で
構造的に知っておかなければいけない事実ですので、
今回はブログに記載させていただきました。
この内容が気になるという方は、当事務所主催の勉強会にご参加いただければ
と思います。
令和6年6月10日 税理士 髙島聖也