税理士の髙島です。
テレビドラマの「正直不動産」は面白いですね!
嘘に嘘を並べて営業成績No1をとっていた主人公が
ひょんなことから嘘をつけなくなってしまい、苦戦していきながら、
正直に依頼者に対応することにより変わっていくというストーリーです。
「不動産業界って1000のうち3つしか本当のことを言わない」これは言い過ぎだと思いますが、
実際に売れないみたいな営業をされる人がいるのも事実です。
第一話でアパート建築のメリットだけを聞いて建築を決めたお父さんに対し、主人公がこう言っています。
「アパート建てるにしても、売却するにしてもリスクだらけに決まっているじゃないですか!
家族で話し合ったんですか?家の売買は一生を左右するんです。あなたの孫の代まで」
私も常々、不動産活用については家族で話し合うように言っています。
それは、建てたお父さんだけでなく建物が存在する限り子供、そして孫の代まで影響を及ぼすからです。
悲しいことにこのことを理解せずに、行動して失敗した方を多く見ます。
また、人口減少のこれからの時代に不動産経営をするのであれば
経営や税金に関する勉強をすることは必須になるでしょう。
最近、建設会社と税理士事務所が福岡市中央区にRCマンションを提案した
という事例を見たのですが、成功事例どころか失敗事例でした。
どこが失敗かというと、例えば中央区に150坪程度の土地を持っていたとします。
そこは容積率が300%ありますから、高い建物を建てることができます。
建設会社は、建築費7億円(表面利回り5.5%)で12階建RCマンションをオーナーに提案したとします。
ここで問題になるのは、この不動産オーナーさんはRCマンションを建てても
資金的に困らないかということになります。
実はRCマンションは資金を多く使い、また減価償却年数47年と
借入返済期間に35年と12年のズレがあります。
このズレの分だけ自己資金を持っておく必要があるということをほとんどの方が知りません。
きっとこの税理士事務所も知らなかったのでしょう。
ちなみに7億円の場合には約1億8000万円程度の自己資金を準備できること
若しくはよほど高収益なRC物件であるということが建築の条件になってきます。
また、中心部ほど競争が激しく建築時の家賃を維持することが難しいということも知っておくべきでしょう。
これらの事情を知らない資金弱者の不動産オーナーさんがRCマンションを建てることによって、
相続貧乏という状況になっているようです。
多額の資金を使う産業である不動産賃貸業の方は、自分で資金計画を立てれる程度まで
勉強をしておく必要がありますね。
令和4年5月24日 税理士 髙島聖也