不動産経営において、物件ごとの収益状況をしっかり把握することは非常に重要です。
そこで活用できるのが 「プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)」 という考え方です。
これを不動産経営に応用すると、物件を戦略的に分類し、適切な投資判断ができるようになります。
以前、「物件別の損益をしっかり把握しましょう」とお話ししましたが、
今回はさらに踏み込んで「どの物件に投資すべきか?」という視点で考えてみましょう。
物件のステージを理解することが重要
物件ごとの収益状況を分析すると、大きく以下の2つに分類できます。
① 花形不動産(高収益・高手残り)
- 家賃収入が多く、手取り利益も大きい物件。
- このタイプは 収益力が高いため、積極的な設備投資が有効 です。
- 適切にリフォームや設備更新を行うことで、収益を維持・向上させることができます。
② 利益貢献不動産(収益安定・やや下降傾向)
- 家賃収入がやや下落傾向にあるものの、まだ利益を出している物件。
- この段階では、大規模修繕やフルリノベーションを すべきかどうか慎重に判断 する必要があります。
- 場合によっては、投資を抑え、収益を最大化する方が得策です。
「この物件は花形か?利益貢献か?」という基準を持つことで、修繕やリノベーションの判断がより明確になります。
可視化することで意思決定がスムーズに
物件ごとの売上規模を円グラフなどで可視化すると、
全体のバランスが一目で分かり、戦略が立てやすくなります。
これにより、
• どの物件に投資すべきか
• どの物件は維持にとどめるべきか
• 売却を検討すべきか
といった判断をスムーズに行うことができます。
管理会社や営業マンにも役立つ考え方
物件オーナーだけでなく、管理会社や営業マンにとっても、この考え方は有効 です。
例えば、修繕提案を行う際に、「この物件は花形か?利益貢献か?」という基準を持って説明できると、
オーナーにも納得感のある提案ができます。
実際、確定申告のタイミングでオーナー様の物件別損益を分析すると、
戦略的に管理している方はまだ少ないのが現状です。
そのため、管理会社や営業マンがしっかりとした基準を持ち、論理的に提案できるようになると、信頼を得やすくなります。
今後の展開
この考え方をより多くの方に活用していただくために、管理会社向けのセミナーも企画していきます。
不動産経営において、感覚ではなく 戦略的な意思決定 をすることが、今後ますます求められる時代です。
オーナー様、管理会社の皆様、営業マンの皆様、ぜひこの考え方を取り入れてみてください!
令和7年3月14日 税理士 髙島聖也