不動産賃貸経営と株式投資などの違いは、
「経営」という要素を持っているかどうかにあります。
経営とは、自ら競争条件を有利にする環境を作り出すことができる点に特徴があります。
言い換えれば、「努力のしがいがある」ということではないでしょうか。
努力をする、もしくはその努力が発揮できる環境を整えることで、
自社の経営を自分でコントロールすることが可能になります。
そのためには、自分に合った投資、設備投資、経営方針を選択することが重要です!
例えば、
• どのような入居者に喜ばれる物件を提供するのか
• その地域の特性を研究し、最適な運営方法を考える
• 経費を抑えるポイントを見極める
• 他のオーナーよりも積極的に投資し、競争優位性を確保する
こうした要素を総合的に判断しながら、不動産オーナー自身が経営方針を決定していくことで、
「戦略自由度」 を活かすことができます。
戦略自由度が少ない業種との比較
他の業種を見ると、戦略自由度が少ない業種も存在します。
例えば、コンビニエンスストアのフランチャイズオーナーは、その典型的な例です。
本部がほとんどのことを決定するため、オーナーの裁量が限られています。
その結果、一人当たりの利益も少なく、十分な収益を上げにくい現状があります。
この視点を不動産賃貸経営に当てはめてみると、
サブリースを利用しているオーナーは、利益が少なくなる傾向にあると考えられます。
これは、サブリースによって戦略自由度が制限されることが主な要因ではないでしょうか。
サブリースの活用は目的に応じて判断を
もちろん、サブリースを全面的に否定するわけではありません。
例えば、
• 空室リスクを回避したい
• 賃貸経営の煩雑な業務を避けたい
• 本業が忙しく、物件管理に時間を割けない
このような理由でサブリースを活用するのは有効な選択肢です。
特に、自宅の横にある1棟アパートを管理するのが心理的な負担になる場合などは、
任せることで精神的な安定を得られるでしょう。
しかし、一定以上の資産規模を持ち、相続税対策を進めながら高い利益を確保したいオーナーにとっては、
サブリースの利用が最適な選択とは限りません。
サブリースを利用することで戦略自由度が下がり、
結果として資産を守るという本来の目的が達成できなくなる可能性があるためです。
これはあくまで私個人の見解ですが、賃貸経営において重要なのは「戦略自由度」を確保することです。
皆様もご自身の経営環境を今一度見直し、
自ら経営をコントロールできる体制が整っているかを検討してみてはいかがでしょうか。
令和7年2月19日 税理士 髙島聖也