103万円の壁問題と税制改正の議論
現在、令和7年度の税制改正に向けて、「103万円の壁」問題が議論されています。
この「103万円」とは、給与所得控除の55万円と基礎控除の48万円を合計した金額を指します。
この範囲内であれば所得税が発生せず、さらに扶養控除や配偶者控除の対象となることから、
多くの方がこの金額の範囲内で働こうと考えています。
しかし、日本はこれから超高齢化社会に突入し、
出生数の減少による人口減少時代も迎えています。
コロナ禍が明けた頃からは人手不足が加速し、現在ではホテルの予約が取りづらい状況や、
飲食店が時給を上げても人材確保に苦労しているといった問題が
顕在化しています。
さらに、為替変動による物価上昇がこれに追い打ちをかけている状況です。
こうした危機的な状況を踏まえ、今回の税制改正では「103万円の壁」を
撤廃することで、雇用制限を意識しなくて済む環境を整えることが
提言されています。
一方で、地方自治体からは「税収が減少する」との懸念も示されています。
この問題への対応は、どこかで折り合いをつけつつ進めていく必要があります。
また、こうした未来の状況は数年前から予測できていたともいえます。
そのため、適切な対応策を講じてこなかった政府や自治体には、
今後しっかりと問題に向き合い、具体的な対策を打ち出すことが求められます。
不動産オーナーへの影響と対応策
私のお客様である不動産オーナーの皆さまにおいても、
地価の高騰や金利上昇、さらには建築費の高騰といった影響により、
取るべき手段が限られ、早急な対応が必要な問題が多く存在します。
国や自治体が問題の先送りをした結果が今の状況を招いていることを踏まえると、
同じ過ちを繰り返さないためにも、将来を見据えて早めに手を打つことをお勧めします。
もし、自分だけで将来のリスクを予見することが難しい場合は、
専門家の力を借りることも検討してください。
専門家の助言を受けながら早期に計画を立てることで、
不確実な状況に備えることができるはずです。
令和6年11月26日 税理士 髙島聖也