税理士の髙島です。
信託法が改正されたのが平成19年。
それから10年以上の月日が経ち、
認知症対策として少しずつ家族信託の事例が
増えてきております。
当事務所でも数は多くありませんが、
地主オーナーの相続対策として取り組みを
重ねております。
今までは家族信託を組成しようという勉強が
多かったのですが、これからは信託期間中や
信託終了に向けた取り組みが増えてくるのだと思います。
信託は、一つの専門家ではできない分野です。
私の担当は税務になるのですが、
信託契約書をもとに将来の設計上、税法的に不利になる
取り扱いがないかをチェックしなければいけません。
信託終了時の取り扱いとして気をつけておかなければ
いけないのが、不動産取得税と登録免許税です。
信託設定時については、
不動産取得税はかからない。登録免許税は0.4%(通常の5分の1)
になることがメリットとして多くのセミナーが行われています。
一方で、受益者連続型信託(当初受益者死亡後も続く信託)は
不動産取得税及び登録免許税は通常通りの課税が行われます。
不動産取得税が4%、登録免許税が2%
つまり、1億円の固定資産税評価がある建物(事業用)の
場合には、不動産取得税が400万円、登録免許税が200万円
かかることになります。
相続対策効果以上に不動産取得税及び登録免許税がかかってしまったという
事例もこれから増えてくるでしょう。
上記の取り扱いについても詳しい専門家は回避する手法を検討し、
契約書に織り込んでいます。
委託者の地位を帰属権利者に承継されるなど、
税務的な論点も検討した信託契約書の組成のためには、
やはり税理士の力も必要になってくるのでしょう。
令和2年11月16日 税理士 髙島聖也