不動産管理会社(転貸方式)

【転貸方式】

 サブリース方式と呼ばれる方法で、個人オーナーが所有する物件を

不動産管理会社に一括で貸し付けます。

会社は個人オーナーに借り上げ家賃を支払い、一方で借り上げた物件に

ついて入居者を募集し、「家賃収入」を得ます。

 会社が空室等の経営上のリスクを負うことになりますので、満室時の

実質管理料(賃借人からの家賃収入-個人オーナーへの支払家賃)は

管理料徴収方式の場合よりも高く設定されるのが一般的です。

 しかし、空室が増加すると会社は赤字になる可能性があります。



□転貸方式のメリット

 ①空室が多い場合でも、賃貸割合は常に100%

 個人が所有物件を不動産管理会社に一括して貸し付け、不動産管理会社が入居者と

 賃貸するため、個人にとっては所有物件を不動産管理会社に賃貸していることになり、

 入居者と契約を行わないため入居率は関係ありません。

 不動産管理会社へ賃貸していると賃貸割合は常に100%となります。


②管理料徴収方式よりも所得分散効果が拡大

 転貸方式による場合、不動産管理会社が空室等の経営上のリスクを負うことに
 なりますので、管理料徴収方式の場合よりも多くの所得を不動産管理会社に
 移転することができます。

 しかし、管理料徴収方式による不動産管理会社の場合と同様、不相当に高額な管理料を

 設定した場合、課税当局から否認されるケースがありますので、注意が必要です。

③不動産の移転コストがかからない

 不動産の所有者はあくまでも個人オーナーです。

 そのため、不動産所有方式のように不動産の所有権を移転する必要がないため、

 登記費用や不動産取得税などの移転コストがかかりません。


④相続発生時の賃貸人(入居者)との契約変更手続き等が要らない

 被相続人が直接賃貸していた場合には、相続に伴って賃貸人が相続人に
変更になります。

 そのため、賃貸借契約書の賃貸人を変更し、すべての賃借人にたいして賃貸料の振込先の変更案内などの手続きが早急に必要となります。

 しかし、不動産管理会社が転貸方式で借受けている場合には、賃貸人は当初から不動産管理会社であり、かつ、賃貸料も不動産管理会社へ振り込まれていることから、
相続に伴って当該不動産が相続人に相続されても、建物賃借人との賃貸借契約書の変更手続きは不要です。

 必要なのは、不動産管理会社と相続人との賃貸借契約書のみを変更し、振込先を
指定するだけで相続手続きは完了します。

 したがって、賃貸方式をスタートする際には、入居者との契約変更手続きが必要ですが、

 一旦転貸方式がスタートすれば、相続発生時の手続きはかなり簡便になります。


□転貸方式のデメリット

①空室率が高いと収支が赤字になる場合がある

 不動産管理会社にとっては、空室率が低ければ多くの収入を得ることができますが、

 逆に空室率が高くなると家賃収入よりも借上げ家賃の支払いの方が高くなり、
 収支が赤字になることも考えられます。

②賃貸人(入居者)との契約変更手続きが煩雑

 賃借人(入居者)との契約は不動産管理会社が行うこととなりますので、

 個人オーナー名義で 賃貸借契約書を作成している場合は変更する必要があります。

 これに伴い、家賃の入金口座も、不動産管理会社の口座に変更する必要があります。

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