昨年、Netflixで話題になったドラマ『地面師たち』を私も観ました。
この作品を通じて、大手企業であっても詐欺事件に巻き込まれる可能性があるのだと改めて感じました。
確かに、この事件は詐欺グループによって引き起こされたものですが、
企業側の判断ミスや意思決定プロセスの甘さも大きく影響していたように思います。
特に印象に残ったのは、土地購入を担当した社員が上司と共に現地を視察し、
特に印象に残ったのは、土地購入を担当した社員が上司と共に現地を視察し、
その事実を稟議書に「付箋」でメモしたシーンです。
上層部はその付箋を見て「社長も現地を見ているのだから問題ない」と判断し、
結果として杜撰な審査のまま決裁が下りてしまいました。
これはフィクションの一部かもしれませんが、現実においても十分に起こり得る話です。
企業の意思決定がいかに危ういものになり得るかを示しており、非常にリスクの高い状況だと感じました。
企業戦略が失敗したとき、巻き込まれるのは誰か
不動産市場においても、企業が誤った戦略を取ることで、多くの関係者が影響を受ける可能性があります。
たとえば、ある企業が「ブランド戦略」に基づき、高級志向の物件を開発しようとしたとします。
• エレベーターや豪華な設備を導入し、
• 近隣の相場よりも高い家賃設定を行い、
• ブランド価値を確立することで、市場で選ばれる存在になる
このような戦略は、企業自らが物件を建設・所有するのであれば、自社のリスクの範囲内で実行できます。
しかし、もしこの戦略を不動産オーナーに建設させ、サブリース(家賃保証)を提供する形で展開した場合、
話は変わります。
ブランド戦略が成功すれば問題ありませんが、
ブランド戦略が成功すれば問題ありませんが、
もし市場に受け入れられなかった場合はどうなるでしょうか?
この場合、単に建設会社やサブリース会社が困るだけではありません。
それを信じて物件を建設した不動産オーナーも、大きな損失を被ることになります。
これは、ある企業の一つの仮説に基づいた戦略が、
これは、ある企業の一つの仮説に基づいた戦略が、
結果的に多くの不動産オーナーを巻き込む悲劇につながる可能性があるということです。
企業の戦略に対し、関係者はどう向き合うべきか
企業は独自の戦略を持ちます。
しかし、それに巻き込まれる可能性がある不動産オーナーや土地所有者、
さらには税理士や建設業者なども、その戦略の妥当性をしっかりと見極める必要があります。
特に重要なのは、「本当に市場に受け入れられるのか?」という視点を持つこと です。
特に重要なのは、「本当に市場に受け入れられるのか?」という視点を持つこと です。
戦略が成功することを前提に進めるのではなく、リスクを慎重に評価することが求められます。
そのためには、次のような情報をチェックすることが重要です。
1. 実際に建築された類似物件の家賃相場
2. 近隣の賃貸市場の動向(家賃の上昇・下落傾向)
3. 現在の入居率、入居状況
また、実際に現地へ足を運び、「リアルな情報」を自分の目で確認することも重要です。
建設会社やサブリース会社の提示するデータだけを鵜呑みにするのではなく、
第三者的な視点で情報を収集し、慎重に判断するべきでしょう。
まとめ
企業の戦略が誤った場合、その影響は企業だけにとどまらず、多くの不動産オーナーや関係者に波及します。
特に、企業が立案する「ブランド戦略」や「市場創出の仮説」が失敗した際には、
不動産オーナーが最も大きなリスクを背負うことになりかねません。
そのため、不動産オーナー自身も「この戦略は本当に妥当なのか?」という視点を持ち、
そのため、不動産オーナー自身も「この戦略は本当に妥当なのか?」という視点を持ち、
市場動向や実際のデータをもとに慎重に判断する必要があります。
そして、税理士や建設業者などの関係者も、不動産オーナーに対して適切な助言ができるよう、
戦略の可否を冷静に分析することが求められます。
安易に企業の戦略に乗るのではなく、
安易に企業の戦略に乗るのではなく、
「本当に市場で通用するのか?」という疑いの目を持ち、自ら情報を集め、リスクを見極めることが、
不動産経営における最大の防衛策になるのではないでしょうか。
令和7年2月28日 税理士 髙島聖也