不動産オーナーが法人化するメリットの一つとして、
役員報酬を活用した所得分散があります。
個人で不動産を所有している場合、
その所得に対して所得税と住民税が課され、
税率は15%から55%です。
個人事業でも事業専従者に対する給与を経費として計上できますが、
節税効果は限られています。
一方、法人化した場合、会社から役員に対し役員報酬を支払うことができ、
これを経費として扱えます。
役員報酬については、業務に従事していることが求められますが、
専従者給与ほど厳密な業務記録は必要ありません。
役員としての責務を果たすことが前提であるため、
配偶者や子息を役員とし、役員報酬を支払うことも可能です。
ただし、高額な役員報酬は税務署から否認される可能性があるため、
適正な金額設定が重要です。
役員報酬には給与所得控除が適用され、
最低55万円の控除が認められるため、節税効果が得られます。
また、役員報酬を子息に支払うことで、
所得税を支払いながら将来の相続税に備えて資金を
貯蓄できるメリットもあります。
オーナー自身が貯蓄をするよりも、
次世代が役員報酬を通じて所得税を支払いながら
納税資金を準備する方が、
将来的な相続税対策として有効です。
さらに、無報酬でも役員に就任することが可能です。
非常勤役員として登記を行い、
在任期間を長くしておくことも、
後々の経営承継において有利に働きます。
役員報酬の設定は将来的なトラブル回避も考慮し、
適切に行うことが大切です。
令和6年11月9日 税理士 髙島聖也