相続税対策として、小規模企業共済の活用方法をご紹介いたします。
小規模企業共済は、中小企業経営者や個人事業主が退職金を準備するための制度で、
年間最大84万円まで掛け金を支払い、それが確定申告時に「小規模企業共済等掛金控除」として
所得控除されます。
これにより、所得税および住民税の節税が可能です。
通常、この制度は経営者が一定期間掛け金を積み立てた後、
解約金を退職金として受け取ることで、税負担を軽減する仕組みですが、
不動産オーナーも「事業的規模」(目安としては5棟10室)を満たしており、
サラリーマンなどでない場合に加入することができます。不動産オーナーの場合、
退職の概念があまりなじまないかもしれませんが、実際には所得税と相続税の節税にも有効です。
例えば、不動産オーナーが年間84万円の掛け金を10年間支払った後に相続が発生し、
相続人が2人いたとします。
この場合、退職金の非課税枠が適用され、「法定相続人の数 × 500万円」までが非課税となるため、
500万円 × 2人 = 1,000万円が非課税となります。
この非課税枠は、生命保険の非課税枠とは別枠であるため、
資産を預金として残すよりも、小規模企業共済に加入するほうが非課税効果を享受しやすいと言えます。
そのため、当事務所では年齢を問わずこの制度をおすすめしています。
ただし、デメリットもあります。加入から6か月以内に相続が発生した場合には掛け金が戻ってこないため、
高齢者が加入する際には最初の6か月は掛け金を少額に抑えるなどの対策が必要です。
また、小規模企業共済では共済法により受取人の順位が決まっており、
変更することができません。第一順位は配偶者となるため、遺言で他の人(例えば長男)に残そうとしても、
共済金の受取には影響しません。
この点についても理解しておくことが重要です。
所得税対策だけでなく、相続税対策としても有効な小規模企業共済について今回はご紹介いたしました。
加入に関して不明点があれば、ぜひ当事務所にご相談ください。
令和6年11月2日 税理士 高島聖也