不動産オーナーが法人化を検討する際、
法人税と所得税の税率差を活用することがメリットとなります。
個人で不動産経営を行う場合、所得税と住民税の合計税率は15%から55%に設定されています。
個人の場合には、10年、15年で建物付属設備の減価償却が終了により所得が増えてくると、
高い税率を負担していると感じる不動産オーナーも多くいます。
「利益が出れば手取りが残る」と考える方もいるかもしれませんが、
実際には借入金で資金調達し、建築を行っているケースがほとんどです。
このため、家賃収入から経費や税金を差し引いた後に、借入金の返済を行う必要があります。
この返済金額が減価償却費と一致していれば手取りも増えるかもしれませんが、
通常はそうなっていません。
この状況で検討いただきたいのが、法人を活用した不動産経営です。
法人の場合、所得税率は最大55%に対し、法人税率は800万円以下で約26%、
800万円超でも約36%となっています。
税制改正の影響はありますが、55%といった高額税率にはならないため、納税負担が軽減されます。
税率差を活用した効率的な経営
個人で最大税率55%を適用された場合、手元には45%しか残りません。
この45%から借入金の返済をしなければならず、経営効率は低下します。
一方、法人税率を36%と仮定すると、手元には64%が残り、
返済に充てられる資金が増えるため、より効率的な経営が可能です。
さらに、個人の場合、残った45%についても将来の所得税の対象となります。
しかし法人の場合、この残った資金は株式評価となり、
ダイレクトに相続税の対象にはなりません。
このように、法人化を検討する際には、現在の税率だけでなく、
将来の相続税負担の観点も考慮することが重要です。
令和6年11月2日 税理士高島聖也