税理士の髙島です。
12月は年末調整や確定申告に向けた準備で、
忙しくなる税理士事務所業界ですが、
当事務所では、相続税の試算についてのまとめの
作業を行っております。
今年、月次の関与先になった方などの相続税試算を行い、
将来の相続時の相続税というリスクをどのように
対策をとっていくのかの検討をしています。
その中で、これは重要だと思ったのが「地積規模の大きな宅地」の
適用についてです。
以前は、「広大地」と言っていましたが、
平成30年より「地積規模の大きな宅地」に取り扱いが変わり、
適用要件も明確化されました。
これにより、以前であれば
「マンション適地なのでは・・」とか
「開発道路は必要ないだろう・・」と
適用できなかった土地も改正により適用できるようになったのです。
地積規模の大きな宅地の要件は下記の通りです。
①福岡の場合は1,000㎡以上の宅地である。
②路線価地域の場合には、普通住宅地区、普通商業・併用住宅地区
※倍率地域は普通住宅地区に所在するものとみなす。
③対象宅地が市街化調整区域以外の地域に所在する。
④評価対象宅地の都市計画の用途地域が「工業専用地域」に
指定されている地域以外の地域に所在する。
⑤福岡の場合には容積率が400%未満の地域に所在する。
上記の要件を満たせば、OKなのですが、ここで気をつけておきたいことが
あります。
それは、土地の評価単位の問題です。
実は、土地については、1筆ごとに評価するのではなく、
評価単位というものを定めています。
所有者や利用の用途によって異なれば、1筆の土地でも分けて評価するのです。
例えば1,000㎡の土地の上に2棟の貸家が建っていたとします。
この場合には、1棟ごとに評価しますので、
1棟当たり500㎡で、地積規模の大きな宅地の要件を満たさないことになるのです。
実は、このようなケースが多いかと思います。
一方で、個人で1,000㎡の土地を所有しており、その上に会社所有の建物が
2棟貸しているという場合には、利用単位が貸し宅地ということで、
1つになり、地積規模の大きな宅地の要件を満たすことになるのです。
要件を満たせば、最低でも20%評価を下げてくれる「地積規模の大きな宅地」
所有形態や利用形態を変えれば、受けれたのにということがないように
事前検討をしていきたいですね。
令和2年12月9日 税理士 髙島聖也