税理士の高島です。
先日、会社を設立された不動産オーナーの方からご質問を受けました。
『書籍を見ると、借地権取引慣行がある場合には無償返還届出が必要という
ように書かれているけど、不動産会社主催のセミナーで
借地権取引慣行があるのは東京だけの話で、福岡は借地権の取引はない。
だから無償返還届出なんてださないでいいといわれた。
どちらが正しいんですかね?」
とのことでした。
借地権税務は資産税の中でも最もグレーゾーンな部分です。
法律はこうなっているけど、実務ではどうなんだ!?
という部分が多いいのです。
さて、このご質問についての私の回答ですが、
『まず相続税路線価が30%以上の地域は借地権取引慣行がある地域であり、
土地所有者と建物所有者が異なる場合には無償返還届出書の提出が必要です。
税法が定める借地権取引慣行の判定の場合にの借地権取引は
一例にしかすぎず、底地権者が建物所有者に立ち退き等を
求めた場合に、建物所有者に金銭的な権利が生ずるかどうかをもって判断します。
これの割合を不動産鑑定士が評価を行い、各地の借地権割合の評価を
行っているので、税務署が勝手に決めている割合ではないのです。
つまりよほどな田舎な場所(借地権割合が定められていない地域)以外は
借地権取引慣行がある地域として税務の判断を行っていくことになります。』
もちろん税理士によって意見が異なってもいいのです。それぞれの税理士が
自分が考える正義によって、理論武装を行い、納税者のために
働くことは素晴らしいことだと思います。
ただ、不動産会社の社員など専門家でない方が間違った知識を納税者に対し
セミナー等を行うのは非常に問題です。
不動産オーナーの方々も実際に行動するときには
最後まで責任を取ってくれるかたと一緒に行動をしていくことに
されることを願っております。
令和元年5月18日 税理士 高島聖也