不動産オーナーの家族信託注意点②
税理士の髙島です。
今回も信託の税務上の取り扱いで確認しておきたいことを
お伝えしたいと思います。
今回は『みなし受益者』についてです。
家族信託は税金はかからない=パススルー課税をとっています。
これは委託者=受益者とする契約書を作成し、
自益信託の取り扱いを受けるからです。
もしこれが委託者≠受益者とする信託となった場合には
他益信託になることから受益者に対して、
贈与税等の税金がかかってくることになるのです。
これは契約書の作成業務をしている司法書士、弁護士、行政書士、税理士が
全員知っている共通認識事項です。
さて、今回は気を付けておきたいのは、みなし受益者です。
信託法の受益者とされる人と税務署が受益者として考える人には
若干のずれがあるのです。
税務署が受益者としてみている範囲の方が少し広いです。
例えば父親を委託者、長男を受託者、当初受益者を父親とした
信託契約をしました。父親が亡くなった場合には、
長男が取得するという内容です。
さて、この場合受託者である長男は『形式的にはみなし受益者』
に該当してしまうことになるのです。
実は現在作成されている信託契約はほとんどこのチェックが行われていません。
税務上のチェックを受けることなく、
契約書の組成が行われているのです。
もちろんこの条件だけで受託者も『みなし受益者』だということに
してしまっては、混乱を招きます。
そのため実質基準で受託者がしっかりと受益者の財産と受託者固有の財産を分別
管理している場合には、税金をかけないというような
趣旨も税務署の改正のあらましの付け加えられています。
ただ、この点については専門家として注意をしていく必要があるでしょう。
不動産オーナー様も、専門家選びの際には
みなし受益者の取り扱いについて、しっかりと説明してくれる
専門家を選ぶように注意をしましょう。
令和元年5月13日 税理士 髙島聖也