不動産鑑定士の方と現在、進行中の法人化案件について
打ち合わせをしました。
通常、個人所有の建物を設立した会社に売却する場合の
価格は『時価』で売却することになります。
時価とは第三者取引を前提とした場合の価格を言います。
でも、不動産オーナー自身が所有する不動産を
ご自身が支配する会社に売却するのですから、
自由に価格を決めることができていしまいます。
その価格が適正であるかは
後日、税務署より問い合せ等が懸念されます。
この場合に、実務上は適正な減価償却を行ってきた
簿価を『時価』と考えてよいことになっています。
私も特に問題なければこの簿価をもとに実務上
検討を行い、会社を設立するケースがほとんどです。
しかし、そのほかの方法として不動産鑑定士に鑑定による時価
を算出してもらい、これを用いることも認められています。
では、この鑑定士による鑑定評価を時価として採用するケースは
どのような場合があるでしょう。
私は以下のように考えます。
■適切な減価償却をしていない不動産
(買換特例を受けているなど、簿価が著しく低くなっている場合)
■鑑定評価が簿価よりも低い場合
このケースはなるだけ低い価格で個人に移すことにより、個人資産の
増加を防ぐという場合になります。
■鑑定評価が簿価よりも高い場合
このケースは、資金調達が必要な場合になります。
まだ残っている借入金残高が簿価よりも多い場合には、
そもそも銀行借入金の組み換えが困難になるケースには
鑑定評価を採用する場合があります。
そのほかにも相続税納税資金など経費にならない資金が
必要な場合など資金調達としても活用できるでしょう。
H31.1.23 税理士 髙島聖也