本日、相続税で有名な笹岡先生の研修会に参加してきました。
最高裁判例は非公開裁決事例を踏まえながらで、とても
わかりやすい研修でした。
さて、研修会のタイトルですが、
『土地・建物における特別な事情の有無 評価基本通達6項の実務上の留意点
でした。
皆様ご存知の通り、土地については路線価評価や倍率評価で評価を行い、
建物については固定資産税評価
もし貸家の場合には30%の借家権を控除するということが
財産評価基本通達に定められています。
通常であればこの評価を行えば間違いないのですが、
この評価方法が正しく時価となっていない場合の取り扱いが
財産評価基本通達6項に定められています。
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる
財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
この取り扱いは時価が財産評価基本通達による評価額よりも多い場合にも
低い場合にも適用されます。
具体例1:納税者側がする場合
売れないような土地を不動産鑑定士による鑑定評価
具体例2:税務署がする場合
節税目的のタワーマンションを不動産鑑定士による鑑定評価
この取り扱いが適用される場合は、相続開始直前に不動産を取得し、相続直後に売却するなど、
相続等の前後を通じて見ると、この不動産が一種の商品のような形で取り扱われ、かつ
目的が相続税節税であるという場合に適用されます。
もともと土地を所有していて、その上にアパートを建てるような場合には適用されません。
※なくなった方の購入の意思がないような場合には適用される可能性あります。
タワーマンションだけにだけ適用される取り扱いではなく
ほかの投資不動産についても適用されます。
今はバブル並みもしくはそれ以上に不動産価格が高騰しており、時価と相続税評価額の
乖離を利用した不動産投資の話が溢れていますが、そのような不動産について、
税務署に目をつけられたような場合には、この6項が適用され、結局相続税が
安くならないというケースが想定されます。
具体例: 対策前財産8億円
対策 10億円の不動産(相続税評価額2億円)を借入金10億円で購入
対策後財産8億円+2億円(対策不動産)-10億円(借入金)
=0円
税務署の決定
8億円+10億円(対策不動産)-10億円(借入金)
=8億円
このようなケースは銀行やハウスメーカーが積極的に勧めていますが、
相続税節税のためだけの不動産投資は、今後、租税の公平の見地から
否認される事例が増えてくるのではないかと思います。
儲かったのはハウスメーカー、不動産業者そして銀行ということです。
建物は固定資産税評価、だけど節税目的の場合には時価(購入価格に近い鑑定評価)
となる場合がありますので、ご注意ください。
H30.7.20 税理士 高島聖也