テレビやラジオ等で家族信託が取り上げられたことにより、
家族信託の件数が増えているそうです。
一番進んでいるのはやはり東京ですが、
東京の先生方に聞くと、次は福岡ではと言われます。
家族信託を運営するうえで一番ネックになるのが、
金融機関対応です。
私のお客様はほとんどが不動産オーナー様ですが、
不動産の信託はハードルがまだまだ高いようです。
問題の一つ目は、信託口座(委託者○○受託者□□信託口)が
作成できるのかという点です。
問題の二つ目は、融資がある物件について、
信託財産に組み込めるかという点です。
そして問題の三つ目が、土地を信託したのちに、
受託者名義で建物を建てる場合に銀行が融資をするのか
という問題です。
今回ご案内したいのは、信託口座です。
以前はこの信託口座が開設できずに
現金管理や受託者名義の預金で管理をしていた
ようです。
信託法では受託者は分別管理が義務付けられているので、
自身の預金と分けて管理をしなければいけません。
だから、信託口座が開設できないと管理が大変になります。
福岡の場合には対応できる銀行がいくつかあります。
ただ名前は委託者○○受託者□□信託口なのに、
銀行サイドにおける管理が受託者管理になっている銀行があるのです。
通常、信託口座は受益者管理になりますので、万が一受託者に相続が
発生した場合にも信託契約書により次の受託者を選任しますし、
管理も変わりません。
また当初受益者に相続が発生した場合には、次の受益者の指定があれば
当初受益者の相続人の同意なく次の受益者に預金の権利が移る形に
なります。
問題のなんちゃって信託口座は受託者管理になっていますので、
万が一受託者がなくなった場合には、受託者の相続人の同意が必要に
なります。
当初受益者がなくなった場合には権利は次の受益者に移るという考え
になるのでしょうが、これも今後争われる事案が出てくるのではないか
と思います。
信託契約は保険に非常に似ているのですが、もし火災保険に入っていて
実際に事故が発生した場合に、保険が下りないのであれば
非常に問題です。
この点については、一部の専門家した気づいておらず、
一般の方は知る余地もない問題点ですので、
信託口座開設の際にはお気をつけください。
H30.7.18 税理士 高島聖也